追肥の種類

肥料は数回に分けたほうが効率が良いです。

肥料のイメージ

庭木や植木に与える養分は一気にたくさんあげればしばらくは与えなくてもいい、 そんな簡単な仕組みにはなっていません。 小山になるほどの肥料で植木を囲ったからきっとこのまま10年はもつだろう、という 考え方は全く通用しないので、この作戦を立てていた人はすぐに中止してください。 人間だって「お昼にカレーライス1,300グラム食べて夜にはお寿司を80貫も 食べたし、明日の朝食でゆで卵を50個ほど平らげれば来週までは何も食べなくても よさそうかな」とはなりませんし、このような食いだめはお腹を壊すこともあります。 1日に10食分の栄養を摂取したから9日は断食して過ごそう、これは無理です。 草木だって肥料をまとめてあげたから向こう8年は施肥の必要なし、とはならず、 適切なタイミングで必要に応じて養分を与えなければなりません。 これを追肥(ついひ)といい、即効性の無機質肥料を庭木・植木が弱ってきそうな時期 を狙いすましてお助けしてあげます。 一度に多量の肥料をやっても困ってしまうのは人間も植物も同じで、無理してカレー を1,300グラムも食べると体調が悪くなるでしょうし、塩分がなければ人は生きて いけないからと醤油をグラスに注いで飲み干したら悶絶するほど苦しむことになります。 薬も過ぎれば毒となる、と諺にもあるよう過剰摂取は人体や動植物に悪影響を与える 場合の方が圧倒的に多いのです。 本心から丈夫に育って欲しいと願いたくさんの肥料をあげたせいでお庭の植物が変な 色になってきた、なんてこともあるので、一度に大量にやるよりも数回に分けて施肥 しなければならないのです。 追肥のタイミングで一般的に広く知られているのは春先の芽出し肥(めだしごえ)です。 春の新芽が出る時期に与えるので春肥とも呼ばれ、活発に成長を開始するタイミングに 合わせて速効性肥料を施し健やかな育成を手助けします。 冬はジッとしているのでさほどエネルギーを要しませんが3月から4月にかけて栄養 を欲するのは、私達人間と同じで熊も同様です。 このスタートダッシュが花弁の鮮やかさや葉の瑞々しさにも影響を与えるので、 全盛期に抜かりなく庭園を彩ってくれるよう春先のエネルギーの供給は完璧に行い 後の満開の花弁を楽しみに待ちましょう。 秋になったら寒さの厳しい冬季を何事も無く過ごせるよう、雪の多い北陸地方もあまり 冷え込まない九州地方もその中間で普通に寒い中部地方も、秋肥(あきごえ)を丁寧 に施して春まで頑張ってもらいます。 「木って冬には気温が下がると枯れたように見えるけどちゃんと春には復活するし、 寒さが原因で朽ち果てることはまずないんだよね」と信頼とも取れる発言をする方 もいますが、そんなに甘くはありませんし過酷な環境で生き抜けるだけの生命力を 全ての草木が備えているわけでもありません。 手入れを怠ったせいで弱っていれば冬を越せずに枯れてしまうこともあるのです。 それを防止するためにも耐寒性を上げるよう秋肥で栄養をチャージしてやります。 寝たふりをしていたらそのまま永眠してしまった、そうならぬよう休眠期を無事に 乗り越えられるだけの追肥を与えてやりましょう。 ここで使われるのは遅効性の無機質肥料が適します。 また庭木や植木だけではなく鉢植えの植物にも施肥は必要になります。 鉢植えで便利な肥料は置肥で、これはただ置いておくだけで長期間安定した養分の 供給を任せられる優れものです。 水をやるたびに栄養分が溶けて土に染みこみそれを根が吸収するように考案された、 お手軽な施肥アイテムです。 急激に養分を与えてしまう心配もなく、溶け出すまではその内部に栄養をキープして 水分補給のタイミングと同時に養分を吐き出してくれるため、育成の手間は水やり だけとほぼ同じようなものです。